<aside> <img src="/icons/brain_gray.svg" alt="/icons/brain_gray.svg" width="40px" /> 脳梗塞や末梢炎症病態など、神経細胞死や神経機能障害が認められるモデル動物を使用し、脳機能破綻の原因と解決策を究明することで、中枢神経疾患に対する創薬基盤研究を行う。
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①神経変性疾患の治療を目指した中枢神経系再生機能の解析
認知症といった中枢の難治性神経変性疾患には根本的な治療薬が存在せず、治療方法も確立されていない。そのため、神経変性後に新たな神経細胞の供給(再生)が有効な治療となる可能性は高い。我々は再生医療と生命科学との関わり合いを通して、成熟脳内に存在する神経系幹細胞の病態生理学的役割とそのシグナル伝達機能を明らかにすることを目的とする。何らかの刺激により脳内の神経系幹細胞が活性化され新たな神経組織の再構築がみられるが、その方法や機序が十分に解明されていないため、現時点で内在性の神経系幹細胞を治療応用することは難しい。従って、成体脳での神経再生システムの制御メカニズムに重要な役割を演じている分子群の同定・機能、組織および個体レベルでの役割解明を通じて再生医療への新たな治療的戦略の構築を目指す。
②がん治療薬および腫瘍の形成が中枢神経機能に与える影響の解析
近年では、がんは早期発見・早期治療により、寛解可能な疾患になりつつある。一方で、がんを経験した患者(がんサバイバー)では、治療後長期的にうつ症状や認知機能障害が持続することが問題となっている。この原因として、がん治療に用いられる抗がん薬や、腫瘍そのものが原因と考えられているが、その詳細は不明である。我々はこれまでに、抗がん薬であるシクロホスファミドを離乳直後のマウスに投与して作製する薬物治療モデル動物や、がん細胞を接種し形成させた腫瘍を摘出することで作製するがん治療後のモデル動物を使い、抗がん薬の投与や腫瘍の存在が長期的に脳機能に影響することを明らかにしてきた。今後はこれら脳機能障害に奏功する医薬品の探索・開発を行う。
<aside> <img src="/icons/headphones_gray.svg" alt="/icons/headphones_gray.svg" width="40px" /> 聴覚を司る内耳蝸牛における恒常性維持機構を明らかにし、その破綻の原因と解決策を究明することで難聴に対する創薬基盤研究を行う。
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生活の質(QOL)を維持するためには、感覚器が正常に機能することが必要不可欠である。感覚器疾患では、特に内耳機能障害が原因である感音性難聴は根本的な治療法がなく、QOLの低下が大きな問題となっている。また、有効な薬物治療も確立されていないため、新規治療薬の開発が強く望まれるところである。しかしながら、内耳障害に対する治療薬の開発はきわめて遅れているのが現状であり、その原因の一つに適切なモデル動物が見出されていないこと等から内耳障害の発症メカニズムの解明が進んでいないことがある。このような背景から、我々は、内耳疾患モデル動物の作成、内耳疾患の発症メカニズムの解明及びその治療薬の開発の可能性等を追求し研究を行っている。
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